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物流トピックス
LOGISTICS TOPICS

ICS2 EU税関事前貨物情報システムの概要についてフォワーダー目線で解説

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ICS2 EU税関事前貨物情報システムの概要についてフォワーダー目線で解説

ICS2とは?

Import Control System2(ICS2)は、EUが導入した輸入貨物の安全性を確保するためのITシステムです。 EU 加盟国、スイス、ノルウェー及び北アイルランドが、貨物が輸入される前に詳細な情報を収集し、リスク評価を行うことを目的としています。

アメリカ・日本・カナダがこれまでに導入した24時間ルールとほぼ同様に、欧州税関が、船積み24時間前までにICS2を通じて送信された貨物情報等のデータを解析します。場合によっては、欧州税関より追加情報提供の要求や、高リスク貨物に対する不積み(Do Not Load)の指示が出されることも想定されます。

ICS2と各国の24時間ルールの違いは何ですか?


まずは、混載(LCL)における各国の24時間ルールの違いを確認しましょう。

  • 米国向け<AMS>

物流トピックス ICS2 イラスト修正版 20250507_ページ_1.jpg

【特徴】

  • 丸部分の実荷主に発行するLowest HBL情報を、運送人のうちの1社がAMS送信
  • Co-Loadの場合、Master LoaderAMS送信を依頼する「Non-Automated Co-Loader」と、自社でAMS送信を行う「Automated Co-Loader」が存在
  • Master LoaderAutomated Co-Loaderが送信したデータが、船会社の送信データとマッチングした後、船積みが可能になる


  • 日本向け<JP-AFR>

物流トピックス ICS2 イラスト修正版 20250507_ページ_2.jpg

【特徴】

  • JP-AFR送信を実施できるのはMaster Loaderのみ
  • JP-AFR送信で必要となる情報は、〇で囲んだMaster Loader発行のHB/L情報となり、Co-Loadの場合でも実荷主等の情報は不要


  • カナダ向け<E-Manifest>

物流トピックス ICS2 イラスト修正版 20250507_ページ_3.jpg

【特徴】

  • 全てのB/L発行者は、E-anifest送信が必要
  • E-Manifest送信者は、一つ上位の輸送業者(各自にとってMBL発行者)Cargo Control Numberと紐づけることが必要

  • EU 加盟国、スイス、ノルウェー及び北アイルランド向け<ICS2 (ENS)>

物流トピックス ICS2 イラスト修正版 20250507_ページ_4.jpg

【特徴】

  • Lowest HBLの売主・買主(Seller・Buyer)情報が必要
  • 送信データは以下に区分されている
    • F15 具体的な商品明細、HSコード、Shipper, Consignee、売主・買主(SellerBuyer)情報
    • F14 売主・買主(SellerBuyer)以外の情報
    • F16 売主・買主(SellerBuyer)のみの情報
  • 送信は、以下に分かれる

F15

Master Loaderが全ての情報を代行送信

F14

Master Loaderが売主・買主以外の情報を送信

F16

Automated Co-LoaderF14の補足情報として売主・買主情報を送信

F14+F16が1件の船積情報となる
Automated Co-Loaderであっても、混載の場合F15の送信はできません

  • ICS2では、船会社が発行するMBL No.と船会社の EORI No.と各送信データが紐づく形となる
    一つ上位のMBLEORI No.では無いことに注意が必要

▼「部分的な情報」送信とデータの紐づけ

物流トピックス ICS2 イラスト修正版 20250507_ページ_5.jpg

Master Loader (弊社)

①実荷主1:F15

②Co-Loader A:F14

売主・買主(SellerBuyer)情報を除くCo-Loader Aの情報(EORI No含む)

③実荷主4:F15

④Co-Loader C:F14

売主・買主(SellerBuyer)情報を除くCo-Loader Cの情報 (EORI No含む)

Co-Loader Aとしての送信情報

実荷主2情報:F16

⑥Co-Loader D情報:F14

  • Supplementary Declarant(補足申告者)としてCo-Loader Dの情報(EORI No.含む)を入力
  • ⑤、⑥ともにMaster Transport Documentは、船会社が発行するMBL No.
    Document Type
    は、[N704Master Bill of Lading
    Carrier
    は、船会社のEORI No.

Co-Loader Cとしての送信情報

⑦実荷主5情報:F16

  • Master Transport Documentは、船会社が発行するMBL No.
    Document Type
    は、[N704Master Bill of Lading
    Carrier
    は、船会社のEORI No.

Co-Loader Dとしての送信情報

⑧実荷主3情報:F16

  • Master Transport Documentは、船会社が発行するMBL No.
    Document Type
    は、[N704Master Bill of Lading
    Carrier
    は、船会社のEORI No.

カナダのe-Manifestが一つ上位のMBL Cargo Control Numberを入力し紐づけるのに対し、ICS2は、F16を送信するAutomated Co-Loaderの情報(EORI No.含む)Supplementary Declarant(補足申告者)として申告する必要があります。
また、すべての情報は、船会社が申告するICS2データと紐づける形となるため、船会社MBL No.EORI No.の入力が必要となります。

▼混載(LCL)の場合の複雑な組合せ

物流トピックス ICS2 イラスト修正版 20250507_ページ_6.jpg

特に欧州向けの混載(LCL)においては、図の赤点線枠で囲ったケースのように、混載を仕立てるMaster LoaderCo-LoadをするCo-Loader様が多数存在することがあります。それらのCo-loader様にさらにCo-Loadをされることもあり、結果として、Lowest HBLが発行されるまでに複数のHB/Lが発行されることもあります。

赤点線枠ケースの場合、Non-Automated Co-loaderであるCo-Loader B様はICS2送信を行わず、Master Loaderである弊社が部分的な送信を行います。(F14) B社にCo-LoadをされているD社は、自社でICS2送信を行うAutomated Co-LoaderでF16を送信する必要があります。このため、弊社はB社を通じて必要情報をD社にご提供し、D社からEORI Noを含む必要な情報を入手する必要があります。

Co-Load貨物の場合は、Lowest HB/Lまでに複数のHB/Lが発行されることがあります。 欧州税関から入力エラーの通知や追加情報の提出要請、不積み(Do Not Load)指示などがあった場合、どのHB/Lデータが原因かを早期に確認する必要があります。このため、Master LoaderCo-Loadをされる際は、B/Lのコンバインは行わず、Lowest HBL毎にACL送信もしくはDock Receipt提出をお願いいたします。

また、弊社としましては、Lowest HBLまでに複数HB/Lが発行される場合は、Master Loaderが全ての情報を代行入力する「F15」にてICS2送信をご依頼いただくことを推奨いたします。

▼トランシップ(シンガポール経由・釜山経由)の場合の弊社の対応について

弊社における混載輸送(LCL)の場合、ICS2申告対象国向け海上輸送を、積地に応じてシンガポールもしくは釜山経由で手配することがあります。そのような場合、まずはシンガポールもしくは釜山向けのコンテナにて輸送し、各経由地で再度欧州の各仕向地向けに仕立てるコンテナにリコンソリします。

経由地であるシンガポール並びに釜山では、弊社現地法人が、集荷物量により自社混載を仕立てるか、同業他社様にCo-Loadをします。この際、経由地でICS2送信義務が発生しますが、送信期日までに、日本のCo-Loader様(Automated Co-Loader)に対して、必要情報をご提供できない可能性があります。必要情報をご提供できないことによる不積みリスクを回避するために、F15のみとさせていただきます。

まとめ

ICS2は、全ての情報をMaster Loaderに代行送信を依頼できる一方で、Automated Co-Loaderの場合は、部分的な情報を送信することも可能です。
船会社との情報の紐づけは、F12+F15もしくはF12+F14+F16の何れかになりF12+F16は、対応が不可となります。
他国の24時間ルールと比べるとやや複雑になっていますが、要点を押さえることで、ICS2の要件への適切な対応が可能となります。

※弊社では、現在テスト送信を実施しており、2025年3月中に本番環境に移行する予定です。
また、上記の内容は、現時点でEU税関サイトや弊社が契約したサービスプロバイダーより入手した情報をもとに、弊社の判断を加えて作成したものであり内容の正確性をすべて保証するものでないことをご了承ください。

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