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LOGISTICS TOPICS
【徹底解説】海上混載輸送(LCL)とは?メリットや海上フルコンテナ輸送(FCL)との違い
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「国際物流のコストを抑えたい」「少量の商品を海外に送りたいけど、どうすればいいのかわからない」 そんなお悩みはありませんか?
商取引において、輸送コストは大きな負担となります。特に少量の貨物を海上輸送する場合、コンテナを丸ごと借りる「FCL(Full Container Load)/フルコンテナ輸送」よりも、他の荷主とスペースを共有する「LCL(Less Than Container Load)/混載輸送」の方が、費用面で大きなメリットがあります。
この記事では、海上混載輸送(以下「LCL」)のメリットや海上フルコンテナ輸送(以下「FCL」)との違い、料金体系、手続の流れまでをわかりやすく解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
LCLとは何か?基本的な仕組みを理解しよう
LCLは、FCLとは対照的な輸送方法です。
LCLでは複数の荷主の貨物が同じコンテナに混載されるため、少量の貨物でもコンテナを共有して輸送でき、結果としてコストを抑えることができます。
LCLの基本的な仕組みは、以下のとおりです。
- 貨物の集荷:複数の荷主から貨物を集荷します。
- コンテナへの積込み:集荷した貨物を、サイズや重量に応じて、効率的にコンテナに積込みます。
- 海上輸送:積込まれたコンテナは、船舶によって目的地の港まで輸送されます。
- コンテナからの荷下ろし:目的地港に到着後、コンテナから貨物を荷下ろし、それぞれの荷主に配送されます。
LCLでは、貨物の積込みや荷下ろし、通関手続きなど、さまざまな工程が複雑に絡み合います。そのため、信頼できる混載業者を選択することが非常に重要です。
LCLとFCLの違いを分かりやすく解説
LCLとFCLの違いを分かりやすく表にまとめました。物量やコストなどを考慮して、最適な輸送方法を選択することが重要です。
項目 | LCL | FCL |
---|---|---|
コンテナの使用状況 | 複数の荷主で共有 | 単独で利用 |
輸送コスト | 比較的安価 | 比較的高価 |
最小輸送量 | 少量から可能 | コンテナ1個分以上 |
LCLでコスト削減!4つのメリットを詳しく解説
LCLは他の輸送方法と比べ、多くのメリットがあります。ここでは、特に重要な4つのメリットについて詳しく解説します。
メリット1:小ロット輸送でコストを抑えられる
LCL最大のメリットは、小ロット輸送でコストを抑えられる点です。FCLはコンテナを丸ごと借りるため、貨物が少なくても空いたスペース分の費用を負担しなければなりません。一方、LCLは複数の荷主がコンテナを共有するため、輸送費用を分割して支払うことができ、少量貨物の輸送において非常に効率的です。
メリット2:在庫管理の手間を軽減
小ロット輸送が可能になることで、必要以上の在庫を抱える必要がなくなり、倉庫スペースの節約や管理業務の効率化につながります。結果として、保管費用や人件費などのコストを削減できます。
メリット3:海外販路の拡大
小ロット輸送が可能なことで、海外販路の選択が広がります。少量の貨物でも輸送できるため、試作品やサンプル品の送付や、小ロットでの販売開始が容易になります。これは、海外市場への参入を検討している企業や、新たなビジネスチャンスを模索している企業にとって大きなメリットとなります。
メリット4:環境負荷軽減に貢献
LCLはコンテナのスペースを有効活用するため、FCLと比べて輸送効率が向上します。輸送効率の向上により、CO2排出量が減少し環境負荷軽減にも貢献できます。環境意識が高まる現代において、サステナブルな物流を目指す企業にとって、LCLは、魅力的な選択肢と言えるでしょう。
LCLでお引受けできる貨物・できない貨物
LCLでは、お引受けできる貨物と、お引受けできない貨物があります。安全かつスムーズな輸送を実現するためには、事前の確認が非常に重要です。
取扱い注意貨物一覧
以下の貨物は、LCLでの取扱いに注意が必要です。適切な梱包や特別な措置が求められる場合があるため、事前に混載業者へ相談し、その指示に従うようにしてください。
貨物種類 | 注意事項 |
---|---|
長尺・背高貨物 |
長さや高さによっては荷役ができず、お引受けできない場合や、追加費用が発生する可能性があります。 |
重量貨物 |
重量によっては荷役ができず、お引受けできない場合や、追加費用が発生する可能性があります。 |
段積不可貨物 |
LCLで取扱う貨物は、基本的に段積み(積重ね)が可能であることが前提となっています。貨物の上部が平らではない場合や、梱包の強度が不十分な場合、または貨物の上面・側面が均一でない場合には、段積みができず追加費用が発生する可能性があります。 |
危険物 |
海上輸送では危険物として扱われる貨物があります。危険 物は、 国際海事機関(IMO)の「国際海上危険物規則(IMDGコード)」に基づいて9つのクラスに分類されます。クラスによってはお引受けできない場合がありますので事前の確認が必要です。 |
上記以外にも、貨物の特性によっては特別な取扱いが必要となる場合があります。安全な輸送のため、必ず事前に混載業者にご確認ください。
お引受けできない貨物一覧
LCLでは、以下の貨物は原則としてお引受けすることができません。安全性の確保や他の貨物への影響を考慮し、これらの貨物の輸送はお断りする場合が多くあります。
貨物種類 | 理由 |
---|---|
輸出用梱包が不十分な貨物 |
輸送中の破損リスク及び他の混載貨物へダメージを与えるリスクがあるため。国際輸送の基準を満たした梱包が必要です。 |
ケースマーク(荷印)のない貨物 | 荷物の識別が困難になるため。貨物には必ずケースマーク(荷印)を明記しましょう。 |
他の貨物へ影響を与える貨物 | 他の貨物への損傷や臭気移染などのリスクがあるため。 |
生体貨物 | 動物輸送には厳格な検疫や通関が必要であり、LCLでは対応が困難なため。 |
「他の貨物へ影響を与える貨物」や「生体貨物」を輸送する必要がある場合は、FCLなど他の輸送方法を検討する必要があります。
LCLの料金を解説!
LCLの料金体系
LCLの料金は一律ではなく、さまざまな要素が関係しているためケースごとに大きく異なります。主な料金構成要素は以下のとおりです。
料金項目 | 説明 | 請求チャージ例 |
---|---|---|
基本料金 | 重量または容積に基づいて算出される基本的な料金です。通常、立方メートル(㎥)、またはキロトン(KT)あたりで設定されています。 | OCEAN FREIGHT |
サーチャージ | 基本料金に加えて発生する割増料金です。 | FAF、YAS、LSS、PSS |
港湾手数料 | 港湾作業の際に発生する手数料です。通常、立方メートル(㎥)、またはキロトン(KT)あたりで設定されています。 | CFS CHARGE、THC |
その他手数料 | 書類作成手数料、通関手数料、保険料など、その他の手数料です。 | B/L FEE、通関料、保険料 |
追加料金 | 貨物の種類、サイズ、形状、梱包状態などによって発生する追加料金です。危険物や特殊な取扱いが必要な貨物にも、追加料金がかかる場合があります。 |
LONG LENGTH CHARGE UNSTACKABLE SURCHARGE HAZARDOUS FEE |
これらの料金は、混載業者によって異なる場合があります。見積りを依頼する際は、各料金項目の内容を事前に確認することが重要です。また、シーズンや市場の状況によっても料金が変動することもあるため、最新の情報を把握しておくことが重要です。
見積り方法と注意点
見積りを依頼する際には、以下のような情報を提供することが求められます。詳細な情報を伝えることで、より正確な料金を確認することが可能になります。
- 貨物の容積、重量、数量、荷姿
- 商品
- 出発地と目的地
- 出荷時期
- インコタームズ
- 付帯作業の有無(通関、集荷、梱包、保険等) 等
LCLの手続きをステップバイステップで解説
手続きの流れ
輸出における混載輸送の手続きは、大きく以下のステップに分かれます。各ステップで必要となる書類や注意点を確認し、スムーズな輸送を実現しましょう。
ステップ | 内容 |
---|---|
見積り |
混載業者に見積りを依頼し、内容を確認します。希望する作業が含まれているか、スケジュールも含めて確認しましょう。 |
ブッキング |
輸出依頼を行い、スケジュール、出発地、目的地、貨物の詳細(商品、容積、重量、数量、荷姿など)などを伝えます。 |
貨物搬入 |
指定された日時までに、CFS(コンテナ・フレイト・ステーション)に貨物を搬入します。梱包状態の事前確認が重要です。混載業者による集荷を希望する場合は、ブッキング時に依頼が必要です。 |
輸出通関手続き |
必要書類を準備し、通関業者に提出します。通関には時間を要する場合があるため、スケジュールには十分な余裕を持って手続きを進めることが重要です。混載業者に通関を依頼する場合は、ブッキング時にその旨を必ず申し出てください。 |
海上輸送 | |
輸入地到着・輸入通関・配送 |
輸入地に到着後、輸入通関を行い、通関完了後に最終目的地まで配送されます。通常は輸入者が手配しますが、インコタームズの条件によっては輸出者側で手配する場合もあります。 |
必要な書類
LCLに必要な書類は、貨物の種類や輸出入国によって異なりますが、一般的に以下の書類が必要となります。
- インボイス(商業送り状)
- パッキングリスト(梱包明細書)
- シッピングインストラクション(船積指図書)
- その他、必要に応じて輸出入国で求められる書類
書類に不備があると、通関手続きが遅延したり、拒否されたりする可能性がありますので、十分注意しましょう。
まとめ:海上混載輸送(LCL)を賢く活用して、国際物流を最適化しよう
本記事では、海上輸送における混載輸送(LCL)について、その仕組みやメリット、料金体系、手続きまでを詳しく解説しました。
LCLは、コストパフォーマンスを重視する企業にとって非常に魅力的な選択肢ですが、すべての貨物や輸送条件に適しているわけではありません。この記事の内容を参考にしながら、自社のニーズに最適な輸送方法を選択してください。
海上混載輸送(LCL)についてさらに詳しく知りたい方や、具体的な輸送プランについて相談をご希望の方は、ぜひお気軽に弊社までお問い合わせください。経験豊富なスタッフが、お客さまのビジネスニーズに最適なソリューションをご提案いたします。