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リチウム金属電池及びリチウムイオン電池のSP188とは? 2025年最新版|図解と対策で徹底解説

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リチウム金属電池及びリチウムイオン電池のSP188とは?  2025年最新版|図解と対策で徹底解説

「リチウム金属電池及びリチウムイオン電池の輸送規制、SP188って何?」

近年、リチウム金属電池及びリチウムイオン電池の輸送規制が一層厳しくなっています。特にSP188という規制が、リチウム金属電池及びリチウムイオン電池の安全な輸送を確保するために重要な役割を果たしています。しかしながら、SP188の条項から詳細な内容を理解し、対象となる電池の具体的な種類や必要書類など、輸送者として何をどのように備えれば良いのかを把握するのは難しい面があります。

この記事では、SP188の意味から対策までを詳しく解説します。記事をお読みいただくと、リチウム金属電池及びリチウムイオン電池の種類や見分け方、規制を遵守するためのチェックポイントなど、SP188に関する知識を効率的に身につけることができます。ぜひ最後までお目通しください。

リチウム金属電池及びリチウムイオン電池に関する基本情報 (UN3480, UN3481, UN3090, UN3091/CLASS 9)

以下は、リチウム金属電池及びリチウムイオン電池に関する基本的な情報です。(UN NO,用途)

  • UN3480: リチウムイオン電池 - 主に充電式のリチウムイオン電池で、単独で輸送されるものです。 例:ノートパソコン用バッテリー、モバイルバッテリー、電動工具用バッテリーなど。

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  • UN3481: リチウムイオン電池 (機器に内蔵/同梱) - 機器に内蔵または機器と同梱されている充電式リチウムイオン電池です。 例:スマートフォンに内蔵されたバッテリー、タブレットに内蔵されたバッテリー、ドローンに内蔵されたバッテリー、カメラに同梱されたバッテリーなど。

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  • UN3090: リチウム金属電池 - 充電式ではないリチウム金属電池で、単独で輸送されるものです。 例:電卓用電池、時計用電池、一部の医療機器用電池など

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  • UN3091: リチウム金属電池 (機器に内蔵/同梱) - 機器に内蔵または機器と同梱されている充電式ではないリチウム金属電池です。 例:一部の心臓ペースメーカーに内蔵された電池、一部の小型電子機器に同梱された電池など。

SP188とは?リチウム金属電池及びリチウムイオン電池輸送の安全を守るための国際基準

SP188は、リチウム金属電池及びリチウムイオン電池の安全な輸送を目的とした国際的な基準です。この規制は、リチウム金属電池及びリチウムイオン電池が輸送中に発火や爆発などの危険を引き起こす可能性の低減を目指し、輸送時の安全を確保するために設けられました。SP188は、IMDGコード(国際海上危険物輸送規則)の特別条項188として規定されており、主に海上輸送におけるリチウム金属電池及びリチウムイオン電池の取扱いに関する要件を定めています。なお、航空輸送においても、IATA(国際航空運送協会)の危険物規則書で同様の規定が掲載されています。

SP188内容:https://www.ntl-naigai.co.jp/service/dangerous-sp188.html

なぜSP188が必要なのか?リチウム金属電池及びリチウムイオン電池輸送のリスクと事故事例

リチウム金属電池及びリチウムイオン電池は、高いエネルギー密度を持ち、外部からの衝撃や熱、短絡などによって発火・爆発する危険性があります。特に輸送中は、さまざまな環境変化にさらされるため、事故のリスクが高まります。過去には、リチウム金属電池及びリチウムイオン電池の輸送中の事故が多数発生しており、航空機や船舶の火災、人的被害など、重大な損害を引き起こしています。SP188は、これらのリスクを低減するために、リチウム金属電池及びリチウムイオン電池の設計、製造、梱包、表示、輸送方法など、あらゆる段階における安全対策を義務付けています。規制を遵守することで、リチウム金属電池及びリチウムイオン電池の安全な輸送が実現し、事故を未然に防ぐことが可能となります。

SP188の対象となるリチウム金属電池及びリチウムイオン電池の種類と見分け方【一覧表付き】

SP188は、以下の種類の電池を対象としています。

  • リチウムイオン電池
  • リチウム金属電池

これらの電池は、携帯電話、ノートパソコン、電気自動車、ドローンなど多様な製品に広く使用されています。SP188の対象となるかどうかは、電池の種類だけでなく、電池の容量(リチウム含有量またはワット時定格量)によっても異なります。

具体的な基準値は以下の表の通りです。

電池の種類 基準値
リチウムイオン電池 ワット時定格量20Wh以下(単電池)、100Wh以下(組電池)
リチウム金属電池 リチウム含有量1g以下(単電池)、2g以下(組電池)

上記基準値を上回るリチウム金属電池及びリチウムイオン電池は、SP188の対象外となり、より厳格な輸送要件が適用されます。電池の種類と容量を確認し、適切な対応を行うようにしましょう。

SP188を遵守するための5つのチェックポイント【海上輸送編】

SP188を遵守し、リチウム金属電池及びリチウムイオン電池を安全に海上輸送するためには、以下の5つのチェックポイントを確実に実行する必要があります。

チェックポイント1:電池の種類と容量の確認

まず、輸送するリチウム金属電池及びリチウムイオン電池の種類と容量がSP188の範囲内であることを確認します。リチウムイオン電池とリチウム金属電池では、基準値が異なるため注意が必要です。電池の仕様書やSDS(安全データシート)を参照し、正確な情報を把握しましょう。

チェックポイント2:梱包・包装の要件

リチウム金属電池及びリチウムイオン電池は、短絡、発火、爆発を防ぐために、適切に梱包・包装する必要があります。具体的には、以下の点に注意してください。

  • 電池を完全に囲む丈夫な外装を使用する
  • 電池が動かないように、適切な緩衝材を使用する
  • 複数の電池を同梱する場合、短絡を防ぐために個別に包装する

チェックポイント3:ラベル表示の義務

SP188に準拠したラベルを、梱包の外側に明確に表示する必要があります。また、ラベルには、以下の情報の記載が必要です。

  • リチウム金属電池及びリチウムイオン電池を示すマーク
  • 適切な警告文言
  • 緊急時の連絡先

ラベルのサイズや色、表示方法も規制で定められているため、事前に確認しておきましょう。

チェックポイント4:輸送書類の作成と管理

リチウム金属電池及びリチウムイオン電池の輸送には、必要な輸送書類を正確に作成し、管理する必要があります。主な書類は以下のとおりです。

  • SDS(安全データシート)
  • パッキングリスト

これらの書類は、輸送中に港湾当局などから提示を求められることがありますので、必ず準備しておきましょう。

チェックポイント5:緊急時の対応計画の策定

万が一、輸送中に事故が発生した場合に備え、緊急時の対応計画を策定しておく必要があります。計画には、以下の内容を含めることを推奨します。

  • 事故発生時の連絡体制
  • 関係機関への通報

緊急時の対応計画は、定期的に見直し、必要に応じて更新するようにしましょう。

SP188対応に必要な書類と証明書:取得方法と注意点

SP188を遵守するためには、適切な書類と証明書を準備し、確認することが不可欠です。ここでは、特に重要なSDS(安全データシート)、UN38.3試験報告書、そしてその他必要な書類について、取得方法と注意点を解説します。

SDS(安全データシート)の準備と確認

SP188を遵守するためには、適切な書類と証明書を準備し、確認することが不可欠です。ここでは、特に重要なSDS(安全データシート)とUN38.3試験報告書について、取得方法と注意点を解説します。

SDS(安全データシート)の準備と確認

SDS(Safety Data Sheet、安全データシート)は、化学物質の危険性や安全な取扱いに関する情報を提供する文書です。リチウム金属電池及びリチウムイオン電池の場合、SDSには電池の構成材料、物理的・化学的性質、危険有害性情報、取扱いおよび保管に関する情報、緊急時の措置などが記載されています。輸送時には、このSDSを準備し、内容を十分に確認することが重要です。

SDS準備のポイント:

  • 最新版を入手:SDSは定期的に更新されるため、必ず最新版を入手してください。
  • 言語対応:輸出先の国の言語でSDSを用意する必要がある場合があります。
  • 記載内容の確認:リチウム金属電池及びリチウムイオン電池の種類、モデル、メーカー情報などが正確に記載されているか確認してください。
    • SDSは、電池メーカーから提供されるのが一般的です。メーカーのウェブサイトからダウンロードできる場合もあれば、問い合わせにより入手できる場合もあります。メーカーから入手できない場合は、専門の業者に依頼して作成してもらうことも可能です。

    UN38.3試験報告書の取得方法と注意点

    UN38.3試験は、国連が制定した「危険物輸送に関する勧告」の中で、リチウム金属電池及びリチウムイオン電池が輸送に関する安全基準を満たしているかを評価するための試験です。UN38.8試験の内容は、国際連合危険物輸送勧告に掲載されており、この勧告を英語では「UN Recommendations on the Transport of Dangerous Goods」と呼び、その表紙の色から通称オレンジブックとも呼ばれています。

    UN38.3試験験に合格したことを証明するUN38.3試験報告書(Test Report)は、リチウム金属電池及びリチウムイオン電池を輸送する上で非常に重要な書類です。

    UN38.3試験の内容:

    引用(UNECE): Microsoft Word - 05E_SCT30to41.doc

    試験番号 試験名 試験条件
    T1 高度シミュレーション:Altitude Simulation 環境温度(20±5℃)で11.6kPa以下の圧力で少なくとも6時間保管する。
    T2 熱試験:Thermal Test 75±2℃で6時間、-40±2℃で6時間、これを10回繰り返し、その後20±5℃で24時間保管する。
    T3 振動試験:Vibration 7Hzから200Hzまでの範囲で振動させる。
    T4 衝撃試験:Shock ピーク加速度150gn, パルス持続時間6㎜セコンドのハーフサイン衝撃を与える。
    T5 外部短絡試験:External short circuit 55±2℃の環境で0.1Ω以下の抵抗で短絡させる。
    T6 衝撃試験:Impact

    試験サンプルを平らな面に置き、9.1kgの重りを61cm±2.5cmの高さからサンプルに落とす。

    T7 過充電試験:Overcharge 最大連続充電電圧の2倍、または22Vのいずれか低い方。テスト期間は24時間を推奨。
    T8 強制放電試験:Forced Discharge メーカーが指定する最大放電電流と同じ初期電流で、12Vの直流電源と直列に接続して常温で強制放電させる。

    UN38.3試験報告書は、電池メーカーが取得している場合が多いですが、電池を組み込んだ製品を輸送する場合は、製品としての試験が必要になる場合があります。また、報告書には有効期限が設定されていることもあるため、期限切れでないことを確認しましょう。

    UN38.3試験報告書の取得方法:

    1. 試験機関の選定:UN38.3試験を実施できる試験機関を選定します。
    2. 試験依頼:選定した試験機関に試験を依頼し、必要な情報を提供します。
    3. 試験実施:試験機関がUN38.3試験を実施します。
    4. 報告書発行:試験合格後、試験機関からUN38.3試験報告書が発行されます。

    まとめ|リチウム金属電池及びリチウムイオン電池の安全輸送のためにSP188を正しく理解し、遵守しましょう

    本記事では、リチウム金属電池及びリチウムイオン電池の安全な輸送に不可欠なSP188について、その概要から遵守のための具体的なチェックポイントを詳しく解説しました。SP188は、リチウム金属電池及びリチウムイオン電池の輸送におけるリスクを低減し、安全を確保するための国際基準です。この規制を正しく理解し、遵守することは、企業にとって法的義務であると同時に、社会的な責任でもあります。リチウム金属電池及びリチウムイオン電池の輸送は、一歩間違えれば大きな事故につながる可能性があります。安全な輸送を実現するためには、社内体制の整備や従業員への周知も重要です。

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    危険品サービス:https://www.ntl-naigai.co.jp/service/dangerous.html

    危険品判定サービス:https://www.ntl-naigai.co.jp/guest/dangercargo/search.html